12音移動ド ソルフェージュと異名同音

Q: F♭、C♭、E♯、B♯やダブル・フラット、ダブル・シャープはどのように歌えばいいか?

現在、Dbメジャースケールの曲をピアノで練習しているのですが、La(Bb)にダブルフラット、Sol(Ab)にナチュラルがついている箇所があります。 いずれも結果的にAなのですが、前者(Bbにダブルフラット)はLeと読めば良いのでしょうか。それともダブルフラット用の読み方があるのでしょうか? 後者(Abにナチュラル)はどう読めば良いでしょうか? Siでしょうか、Leでしょうか? 楽譜的には、音が下がっている箇所なのでLeなような気がしますが、それならBbにダブルフラットになっていないのは何故かと思ってしまいます。

また、この楽譜にはCbが出てきます。Cb=BなのでTiなのかもしれませんが、そうだとするとピアノの黒鍵に該当するところは同音異名なのに白鍵に該当する部分はそうでないという例外があるということになってなんだかとても気持ち悪いです。

気持ち悪いので色々探してみたところ作曲家・指揮者の佐藤賢太郎さんがバークレー式にさらにCb・E#・Fb・B#に名前をつけたものを提唱していました。 http://www.wisemanproject.com/edu&res-solfege-j.html これによるとCbはDeとなっていました。

色々悩んでしまうと、同音異名を使わない方式でやって何か問題はあるのだろうかと思えきました。 例えば西塚式(https://www.isc.meiji.ac.jp/~katotoru/acco-concertina04dodereri.html)。 このような方式なら、今回の質問のような悩みはなくなるのですが、こういった同音異名を使わない方式でソルフェージュして何か問題は発生するでしょうか?(2020.08.22_S.N.)

A: 確かにダブルフラットやダブルシャープが出てきて困惑することがあります。また、C♭やE♯ などが出てきてどのようにソルフェージュで歌ったらよいか迷うときがあります。これらにはいろいろなソルフェージュが提唱されています。しかし、これらは固定ド唱法で出てくる問題であって移動ド唱法では不要となっています。

ご指摘の例で説明すると、La(Bb)にダブルフラットはLaが半音下がった音であり、Leになります。このダブルフラットは、元々調号に♭が付いているので一つフラットしただけで2個の♭になったものです。Cキーに移調するとAに1個の♭となると思います。

Sol(Ab)にナチュラルは、Cキーに移調するとGに1個の♯となるはずです。従って、これは Si です。通常 Si は上行しますが、これがセカンダリー・ドミナント(V7/VI)でVI-7コードに向かっていたらコード音(CキーでE7)のSi ということもあります。

CbはDbキーでは Ti (C) の♭になります。よって、Te で問題ないです。

上は Dbキーにおける12音移動ド・ソルフェージュです。音楽理論的にはこの表記になります。しかしながら、これらは読みやすくする(実音での)ために、 C♭はB♮に、B ダブルフラットはA♮に、A ダブルフラットはG♮に、F♭はE♮に、E ダブルフラットはD♮と表記されることがあります。

このように表記が変えられた場合は、メロディーの方向や臨時記号の付いた意味を考えて本来の表記として歌った方がいいでしょう。

例えば、DbキーでE♮(Ri)の音の場合、向かう音がReで、ブルーノートのMeの様に聞こえる場合、正しくはF♭でMeと考えられる。

もう一つ例を、Cキーで、subV7であるDb7のコードトーンC♭がメロディーとして書かれた場合どう歌うか? もちろん、Tiですね。本来 Bで書くのが正しいと思うし、コードはG7に変えられる。

しかし、この様に歌わなければならないということはなく、同じピッチの音なので理解の範囲で変更して歌われたらいいと思います。

もし、どの様に歌えばいいか分からない場合は、この項のコメントに楽譜または曲名を提示して投稿してください。歓迎します。

今回非常に興味深い質問をいただきました。質問は固定ド唱法と移動ド唱法の違いによるものですが、12音移動ド唱法では7つのスケール音名と上行5つ、下行5つの計17のソルフェージュで全ての音符を表現できます。

固定ド唱法では、前述の様にダブルフラットやF♭などを表現するため、更にたくさんのソルフェージュを必要とします。

クラシックではドイツ式のソルフェージュ(固定C)が使われますが、ダブル・フラットやダブル・シャープ、F♭、C♭、etc. 全てに名前が付いていますが、その総数は35(7×5)程になります。歌い難いです。

エンハーモニック(異名同音)については、異名同音enharmonic-の歌い分けに、セカンダリー・ドミナントにおける臨時記号についてはTendency Tones(続)に関連記事があります。

最後に12キーのクロマチックなソルフェージュを載せておきます。

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