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短調を「ド」から読むか「ラ」から読むか?

 

短調を移動ドで読む場合、基準音(トニック)を「ド」から読むか「ラ」から読むか、という問題は議論があり、日本では「ラ」から読むことが多いようです。しかしながら、バークリーでは「ド」から読む方法を採用しています。

Do-based minor について

移動ド唱法でのマイナー・キーの歌い方には、ラから歌う方法(La-based minor) とドから歌う方法(Do-based minor)があります。バークリーや「ジャズソルフェージュ」では Do-based minor を使っています。更に、通常のマイナー・キーだけでなく、全てのモード曲についても Do-based minor(またはmajor) を使っています。

通常のマイナーやドリアンを「ラ」や「レ」から歌うのは簡単ですが、全てのモードを「ド」から歌うのは少しだけ訓練が必要です。しかし、一度マスターしてしまえば、その効果は絶大です。メロディーや和声の分析が非常に容易になります。 特にモード的手法が入ったコンテンポラリーな曲で Do-based minor( or major)は効果的です。

La-based minor について

「ラ」から読むことの利点は、メジャー・キーが歌えれば容易に歌えることです。他にナチュラル・マイナーで書かれている曲(例Summer time)が7音だけのソルフェージュで歌えることなどもありますが、ジャズでは稀な例です。
「ラ」から読むことのもう一つの利点は、Relative key(平行調 / Am→Cのように調号が同じキー)に転調する場合です。反対にParallel key(同主調 / F→Fmのようにトニック音が同じ場合)は圧倒的に Do-based minor が有利です。

モード曲における歌い方

Do-based minor(またはmajor) で歌う場合は、どのモードであっても Do から歌います。従って何のモードか分からなくても歌い始めることができます。例えば、Me , La , Te のソルフェージュが含まれれば、これはドリアンだと認識します。ドリアンは Re から始まるモードではあるが、Do から歌うと3度と7度のみが♭するモードと覚えているからです。 Do-based Dorianとか Do-based Lydianとか表現したほうがいいかもしれません。Do から歌う場合は、常にトニックは Do で、2度は R (Re or Ra)、 3度は M (Mi or Me)、. . . . . . . . となります。

La-based minorと同じ方式で歌う場合は、それぞれ Re-based Dorian、Mi-based Phrygian、Fa-based Lydian、. . . . . . . . などとなり、モード毎にソルフェージュの基準音が変わります。ドリアンは Re から歌うので Dドリアンが一番読みやすいですね。しかし、CドリアンはBbキーと思って歌う必要があります。
この場合、モードが変わる曲を歌うのは大変です。部分的にモードが使われているジャズ曲は結構あります。
全てのスケールをドから歌うことで、スケールやモードの比較が容易になり、理解しやすくなります。

Do-based minorはアドバンスな唱法といえます。マイナーは「ラ」から、ドリアンは「レ」からといった唱法をマスターしてから挑戦するといいでしょう。新しい世界が見えてくると思います。私の場合、昔「ラ」から読みで覚えた曲やメジャー曲で途中 Relative minorになる場合のマイナー部分、Dドリアンなどは無理に「ド」から読みをしないことが多いですが、最近は、どのような場合でもドから歌ったほうがイメージが膨らみやすいように感じます。

ジャズの元となったブルースは、黒人がアフリカからもってきたマイナー・メロディーとアメリカで強制的に入れられたプロテスタント教会のメジャーな和声とが融合して生まれました。従って、メジャー・キーのジャズであっても、マイナーなメロディーが使われたり、マイナー・キーからの和音が借用されたりするのは普通のことです。マイナーで始まり、メジャーで終わる曲も多い。メジャー・キーの場合は元々ドから歌うので問題ないのですが、例えば Fマイナー・ブルースでは、メロディーは Fブルースの場合とほとんど同じです。それを ラから読むとその関係が分からなくなります。Do-based minor を使うことで、いろいろな関係がよく理解できるようになります。

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ソルフェージュの挫折とその対策

 

1.始める前から挫折している場合

1)移動ドを練習しようかどうか迷っていて初められない。
2)固定ドに慣れてしまっていて抵抗感が半端でない。
3)譜面を見ながら演奏するのでソルフェージュが歌えなくても問題ない。

(対策)

1) どちらにすべきか迷った時は、今ではなく慣れた時にどちらが良いか考えます。
12音移動ドをマスターするには、人によっては何年もかかるかもしれません。それに慣れた時にどのようなメリットがあるか、それが自分にどのように役に立つか現状と比較してください。

2) 固定ドに慣れている場合は初めは混乱が生じるかもしれませんが、乗り越えることは絶体にできます。マスターしたならあなたは新しいレベルに到達することは間違いありません。

3) 楽譜を見ながら演奏することに慣れてくると一種の条件反射で演奏するようになって、頭で考えるということがあまり必要なくなってきます。楽に演奏できるようになります。
譜面がなくても人前で演奏したり、即興演奏や作曲をしたいと一生思わないなら移動ド(相対音感)は必要ないかもしれません。しかし、そのような場合でも演奏する曲を理解するためには移動ドは便利なツールです。

2.第1章「メジャー・スケールを歌う」で挫折した場合

この章でのポイントは、①いかに半音の音程を正確に歌うかということ、②トニックのドを最後まで意識しながら歌う、ということです。
あまりに簡単な練習なのでテンポが早かったり、雑に歌ってしまう傾向があります。

① MiとFa、TiとDoの半音箇所が実際の音程より広くなりがちです。特に半音を意識してゆっくりと歌ってください。
② 小さくDoを楽器で鳴らしながら歌う練習も効果があります。
各音間のインターバルだけを意識した場合は、少しでも高め低めに歌うと最後は大きくピッチがずれることになるので常にトーナルセンターとしてのDoを意識してください。
鳴らすDoは自分の音域よりも低い音域で鳴らし、自分のソルフェージュとのハーモニーを感じるように。

いつも発声練習をしてから初めてください。
特に裏声の練習は効果があります。
ソルフェージュの発音よりも、ピッチの正確さ( Intonation )を重視してください。
音はできるだけ伸ばしてください。
ソルフェージュ・サポートページに練習用音源があります。それを聞いてソルフェージュの言葉で出てくれば練習の成果があったと考えられます。
第1章がしっかりできれば、次章はそんなに難しくありません。

Try again!

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移調楽器(Tp , Sax など)における12音移動ド

(ジャズソルフェージュFaceBook 2016/09/20投稿)

移調楽器で移動ドをするには、初めは複雑に感じます。しかし、実際は移動ドに最適な楽器かもしれません。通常はコンサート・キーでの実音のことは考える必要はないです。

楽器で「ファ#」の運指とか「ソ」の運指とか固定ドで覚えた人は「F#」の運指、「G」の運指というアルファベットの音名に直してください。クラシック畑の人はドイツ式の音名「Fis」や「G」がいいかもしれません。
あとは、Fのスケールは、Fから始まる「ドレミファソラシド」という風に、12の音階が吹ければいいだけです。この時、ソルフェージュとアルファベットの音名(F G A・・・)との関係を覚えてください。この場合の音名とは移調楽器での音名です。

音名は、Fキーの場合は「F G A Bb C D E F 」ですが、メロディック・マイナーの場合は3度の「A」を半音下げる。ハーモニック・マイナーでは6度の「D」も半音下げるという運指になるので理論的にも分かりやすいです。この方法は、Do-based minorといい、全てのモードにも使うことができます。(例えば、F Dorianでは3度の「A」と7度の「E」を半音下げる)

理論的に分かりやすいということだけでなく、メロディーをイメージしやすくなるという利点があります。
移調楽器用の譜面を見て初見で演奏する場合は、アルファベットの音名で運指することになりますが、慣れてくると音名など考えなくても楽譜と運指が直結して演奏できるようになるので問題はないと思います。

このように譜面は移動ドで読まなくても演奏できると思いますが、余裕があれば移動ドで読んでみてください。メロディーの意味がつかみやすくなり、覚えやすくなります。
譜面を移動ドで読めるようになれば、コンサート・キーの譜面でも、また別のキーで演奏することも簡単になります。

初めからコンサート・キーで運指を覚えるという方法もありますが、今度は移調楽器用の譜面を読む時に苦労することになります。
移調楽器で「ジャズソルフェージュ」の読者が少ないように感じるので書いてみました。

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絶対音感のピアニスト

(ジャズソルフェージュFaceBook2016/12/26投稿)

 

子供の時からクラシックピアノを習っていて、大人になってからジャズを始める絶対音感を持ったピアニストは多い。その場合の移動ド・ソルフェージュについて最近考える。自分に絶対音感がないので、直接聞くしかない。

彼らに共通している傾向は、固定ド唱法を使っているので、移動ドに対する違和感が大きい。知っている曲が別のキーで演奏されると気持ちが悪い。音の聞き取りが簡単にできる。訓練しているので、移動ドを使わなくても移調もできる。楽譜が目の前に無いと不安。何も今更、移動ドを練習して相対音感を身につける必要がない。というような人が多いと思う。

移動ドが嫌いな人には何人か会ったが、絶対音感も相対音感もどちらも身につけた人もいる。理想的である。

ジャズであっても、絶対音感だけのプロ・ピアニストもいるようだし、彼らには移動ドは必要ないのか? いや、彼らが移動ドも身につけたら、すごいことになる。

時折、絶対音感だけの人は音楽の聴こえ方、感じ方が相対音感だけの人と違っているのでは、と思うことがある。

クラシックの世界では、歴代の大作曲家の中に相対音感のない人はいない。しかし、絶対音感のない人は何人もいたということだが、演奏家はどうなんだろう?

クラシックの演奏は何に忠実であるべきか?と考えた時、一つの答えは作曲家の意図や意思に忠実というのがある。その場合、聴こえ方が違うのであれば、相対音感の作曲家の曲が絶対音感の演奏家で忠実に再現できるのだろうか?
ジャズにおいても、絶対音感だけの演奏者の音楽は、絶対音感のない聴衆や共演者に正しく伝わるのだろうか?

The answer is blowin’ in the wind.

移動ド・ソルフェージュを宣伝するため書いてみた。
コメントがもらえたらうれしいです。

R.U.

絶対音感」と言うので何か凄く特別感がありますが、音の絶対値がわかる能力で、左利きをぎっちょと言うのと同じです。

僕は絶対音感ですが、相対音感も身につけました。

甲陽ではもちろん相対音感で教えています。
生徒の中にはヤマハなどで固定ド唱法を叩き込まれて
「できませーん」
と言われますが、自分を例にして、移動ドは後からでも身につくし、できないと言うのは思い込みによる部分が大きいと感じます。

絶対音感は感覚的なものですが、相対音感は理論的かと思います!

A:
そうですね。できないというのは思い込みの面もあるでしょうね。
絶対音感があっても固定ド唱法さえやっていなかったら移動ドはもっと抵抗なく受け入れられると思うのですが。Aをラではなくミと言ったりするのが気持ち悪いらしいです。
I.U.
 貴著を購入させていただいて、現在、移動ド・ソルフェージュに少しずつ慣れていっているところです。
これまで固定ド以外の読み方を考えたことすらありませんでした。楽器はギターなので、移動ドの方が理解しやすく感じ、また絶対音感も持ち合わせていないので、移動ド・ソルフェージュのメソッドは自分向きかなと思います。
まだまだ初心者ですので、時間をかけてゆっくり理解し、マスターしていきたいです。
A:
ソルフェージュは使っていると段々と面白くなっていきますよ。続けることが一番大切です。
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錯聴と音楽 / ソルフェージュでは何故、声に出して歌うか

錯聴と音楽

錯視とは実際とは違って見えることだが、これは生きるために長い間かかって獲得してきた脳の能力の裏返しといえる。
視野検査というのがあって、仕事で関わったことがある。視野が欠けていないかをみる検査だが、正常な検査結果でも必ず見えていない部分がある。視神経が一箇所に集まる部分、盲点である。脳はこの部分を脳内処理で補っている。脳は網膜に映った平面画像をも脳内処理で立体画像にしている。目からの情報が大きなエネルギーを消耗する所以でもある。

錯視ほど認知はないが、錯聴という現象も報告されている。
パーティーなどで、どんなに周りがうるさくても相手のことが聞き取れる「カクテルパーティー現象」は錯聴の典型例である。聞きたくないことが聞こえない「勝手耳」は聞こえないフリをしているだけだが、長年言われ続けると本当に聞こえなくなったりする便利な能力でもある。気にすれば聞こえ、気にしなければ聞こえない、ということは日常生活でもよく体験することで、これは耳から入ってきた音が大脳で処理されて聞こえていることを意味する。

音楽については、音楽耳を持った人とそうでない人は聞こえ方が違うはずである。音が分かるとか理解が違うだけという考えもあると思うが、昔良く聞いたCDを今聞き返してみると違うCDのように新鮮に感じたりする。絶対音感の人と相対音感の人でも違うはず。そう考えてみると、音楽的に耳が進化すればするほど、その人が作る音楽はそれを聞く大衆とはだんだん離れていくのではという考えが浮かんでくる。しかし、進化しないとつまらない音楽しかできないのも事実である。

ソルフェージュでは何故、声に出して歌うか

音が聞こえるまでに脳内処理がされていて、人によって、または状況によって聞こえ方が多少なりとも違っているということを書いた。こういう能力は、視覚の場合と異なり、その人が生まれてから獲得してきたものであろう。

イヤー・トレーニングの授業で試験があるが、どうしても2音のインターバルが聞き取れない。楽譜ソフトでたくさんのインターバルを作り、聞き取る練習を必死でした。パーフェクトと自信をもって試験に臨んだが結果は惨憺たるものだった。その原因は楽譜ソフトのピアノ音源と教室のデジタルピアノの音色がまったく違っていたからであった。その時、インターバルよりもサウンドの違いでインターバルを覚えていたのかと気がついた。

CDを聞くだけで、または音当てをするだけでゲーム感覚で音感が身につく、というような教材があるとする。それらは自分の実力を試すには使えるかもしれない。しかし、何回か再生して当たるようになったとしても、他の音源ではどうだろうか? ある程度の効果はあるかもしれないが、上のような理由で、効率の良い方法とは思えない。

自分の楽器ではピッチが分かっても、自分が演奏したことのない楽器のそれは分かり難い。多分、多くの人は、音が低い上にやたらと倍音が多いベースのピッチは分かり辛いであろう。私自身サックスの音は聴き取りにくい。

どうしたらいいのだろうか? 自分の楽器で同じことをプレイしてみるのが分かりやすいかもしれないが、いつもそれがあるとは限らない。
同じ音を自分の声で歌ってみることは手軽で、いつでも身近なリファレンスとなる。ソルフェージュで歌うことを続けていると頭の中で無音で歌うことにも慣れて、更には、時間がかかると思うけど、ソルフェージュで聞こえてくることも可能となる。