“Just Friends”の新たな可能性

Just Friends のアナライズについては当サイトでも紹介してきたが、新たな別の考え方としてブルースの変形であるというアナライズを紹介する。「ボサノヴァ&ジャズ アナライズ集」や当サイトで紹介したのは”How High the Moon”をアイデアの元とする考え方であったが、ここではブルースという観点から見てみる。

“Just Friends”のアナライズ自体は特に難しいものではないが、この曲の特異なところはコードの流れにある。

“Just Friends”と同じ IVコードからスタートする曲に “Candy” がある。

CANDY(A セクション)

このコードの動きはブルースの2〜3行目(5〜12小節)と全く同じである。

Only Thrust Your Heart は Diatonic 4th cycle の進行をうまく使ったボサノバ曲であるが、機能コードとして考えると、コードの動きはブルースの2〜3行目(5〜12小節)と全く同じである。

Only Thrust Your Heart(A セクション)

ブレース形式は12小節である。ブルースから発展させた16小節や32小節の多くの曲があるが、その場合はどこかの部分を引き延ばして12小節を16小節に発展させている。

もう一つの方法は、反対に、部分的に短縮して12小節を8小節の A セクションとする方法である。”Confirmation”がその例。

8小節の A セクションを作るのに部分的にカットするという考え方はどうだろう。”Candy” などにみるように。

同じ考え方でBebopブルースを元に “Just Friends” を考えてみた。

上段はBebop bluesの元の形 / 下段5小節目からは Just Friends(1小節は2小節分に相当)

① III-7(A-7) と同じトニック機能の I maj7 に変更された。Bebopブルースのこの2行目(4小節)だけで Just Friends の A セクション(8小節)となっている。

② Just Friends の形式 ABAC のBとCセクションはBebopブルースの3行目に A-7 | D-7 を挿入して遅延することで8小節を形成している。

③ B セクションは半終始で終わる必要があるため④の小節が2倍に引き伸ばされている。実際は曲頭のIVコードに向かうため最後にB7 が挿入されている。

多くの曲にブルースの影響が見られるが、Just Friends の最初のアイデアとしてこのような考えがあったのではないかと思う。併せて先に紹介した How High the Moon からのアイデアもあったのではないか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください