Autumn Leaves は 超有名な曲であるが、コード進行はほとんどダイアトニック・コードだけでできているのでアナライズする程でもないマイナー曲である。
しかしながら筆者も昔は、どういうことなのだろう?と思ったこともあり、また、メジャーとマイナーの転調を繰り返すアナライズも見るので、ここで取り上げてみる。
メジャーとマイナーの転調を繰り返すとするアナライズの考え方ができないことはないが、大事な注意点がある。
先ずは、最初の8小節をGマイナーのダイアトニック・コードとしてアナライズすると、
最初の4小節をBbメジャーの II – V – I 、続く4小節をGマイナーのII – V- I としてアナライズすると、
2つのアナライズを比較すると、F7 のサブドミナント機能がドミナント機能に変わっている。
(SDM、TM はマイナーにおけるSD、T 機能のことなので、その部分は同じ)
コードスケールは、同じ調号(フラット2つ)で同じコードなので当然同じコードスケールになる。
つまり、前者の F7 は サブドミナント・マイナー でコードスケールはMixolydian、後者はドミナント・コードでコードスケールは同じMixolydianということになる。
同じ Mixolydian を使っていれば両者に違いはない。
しかし、ドミナントコードと考えるといろいろなオルタードテンションが使え、それらを使うと変わってくる。
やはり、アナライズはどちらかにしないと問題が生じる。
※マイナー・キーのコードスケールについては当サイトにあります。
これは、Bbメジャー・キーとGマイナー・キーのダイアトニック・コードとその機能を表す。
マイナー・キー(Natural minor)では、5番目のドミナントの位置のコードがD-7 となる。
このコードは安定しているのでドミナントコードとして不適格である。ドミナント・コードとしては通常 Harmonic minor 由来の D7 を使う。
従って、Autumn Leaves はマイナー・キーのダイアトニック・コードが IV-7から始まり、4度進行(5度下行)してトニック・コードの I- に解決する構造になっている。
ダイアトニック・コードが4度進行して曲が作曲される例はバロック音楽に多くみられ、クラシックでは Circle-of-Fifths Sequence、または Circle of fifths Progressionなどと呼ばれている。
この進行がメジャーキーで I コード向かった場合は、メジャーキー曲として作曲され、代表曲に Fly Me to the Moon がある。
クラシックではマイナー曲で使われることが多いようである。
上は Bach のG マイナー曲、最初の部分であるが、Autumn Leaves と同じ進行になっている。(実際のコードはトライアド であるが、解りやすいように 7thコードでラベルした)
これはクラシックの有名な理論書の Tonal Harmony であるが、ポピュラー曲の説明もあり、その中でAutumn Leaves をこのようにアナライズしている。
※クラシックではこのようにダイアトニックなコードは b や # を付けない。マイナー・コードは小文字のローマ数字を使う。
全体のアナライズは、
※(V7/bVI)は subV7/II のようにも見えるが、マイナー・キーでは、理論的には II コードに向かう2ndary dominant はないのでこのようにアナライズした。
このExtended II-V のアナライズについては当サイト 2ndary dominant in minor に詳しい説明がある。
まとめ
1)Autumn Leaves のメロディーは全体にマイナー・キーで書かれており、コードアナライズも曲全体を通してマイナー・キーとして扱うのが妥当。
2)ほとんどのコードはマイナー・キーのダイアトニック・コードが使われており、アナライズやコード・スケールは解りやすい。
3)最初の4小節と同じコード進行の部分は、メジャー・キーのII – V -I – IV と考えても成り立つが、V コードのコードスケールには注意が必要。