(1)楽譜を歌うソルフェージュから更に進んで、自分でメロディーを作って歌う練習。
本書の最終目標は頭の中でイメージしたメロディーがソルフェージュの言葉で出て来ること、後はそれを楽器で演奏したり歌うだけ。
自然に浮かんだメロディー、それは何処かで聞いたり演奏したことのある曲の断片をつなぎ合わせたもの、ということがほとんどです。いくらすばらしいメロディーが浮かんでも、作曲の場合は評価されません。作曲や即興演奏において如何にオリジナルのメロディーを作るか、そのプロセスに本書は重点を置いています。メロディーを真似るのではなく、それが作られたプロセスを真似たり応用することでユニークなメロディーが期待できます。
(2)前著で紹介できなかったソルフェージュの大きな要素であるリズムの練習。
バークリーのイヤー・トレーニングでは、リズムもメロディーも口で歌いますが、その時必ず自分で指揮をしながら歌います。この指揮は1拍をダウン・ビートとアップ・ビートに分けています。指揮法や各リズムにおける練習はもちろん、16種類のリズム・パターンを練習することで、256パターンを瞬時に認識し楽譜の先読みを容易にする練習方法(4/4拍子の場合)や最近のジャズシーンに必須の変拍子の練習などを多数載せています。
(3)その他、
難しいインターバルの曲や初見の曲を別のキー(移調して)で演奏するなどの応用練習。最終章の転調では、読み替えせずにモードの変化として捉えたほうがいい例、読み替えが必要な例、更に転調しているか曖昧な場合の歌い方について実際の曲で解説しています。
CDは付属していませんが、Webで音源が利用できます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
Chap. 1 ソルフェージュと練習方法
前書を補充した形で書いています。
Chap. 2 トライコード
コードスケール上の連続した3音のみのメロディーについて、それを曲やインプロヴァイズに如何に使用するか。最も簡単なソロの方法としても使えます。
Chap. 3 リズム 4/4拍子
Chap. 5 リズム 3/4拍子
Chap. 6 リズム 2/4拍子 6/8拍子 2/2拍子
Chap. 8 リズム 16thビート ポリメーター 変拍子
前書で入れられなかったリズムについてのソルフェージュ練習です。ソルフェージュを歌うときの指揮法や様々なリズムを歌うためのノウハウを書いています。パターン認識でリズムを読む練習は楽譜を先読みするのに役立ちます。前書と並行して練習することを薦めます。
Chap. 4 コードをソルフェージュで歌う
コードを歌うことはインプロヴァイズの基礎といえます。移動ドでは、同じコードタイプのコードはルートをドにすると同じ歌い方になります。7thコードは24のブロークン・コードとその転回形で96種類になりますが、テンションを加えたコードも歌います。更にはリズムを変えたりアプローチ音を加えてソロフレーズを作ります。
Chap. 7 アドバンス ソルフェージュ
「音を聴きながら別の音を歌う」はハーモニー感覚の訓練として、「インターバルと作曲」はインターバルにフォーカスを当てて作られた曲を歌い理解するとともに難しいインターバルを歌う練習をします。「楽譜と別のキーで演奏する」は初見の楽譜を移調して演奏する練習ですが、移動ドに慣れてくるとできるようになります。
Chap. 9 Lick(即興フレーズ)とQuote(引用フレーズ)
例としてDonna Leeをメロディー分析し、そこからLickを選びました。更にはそのLickを変化させてバリエーションを作る方法を書いています。
Chap. 10 モードの変化・転調・あいまいな転調
転調を読み替えせずにモードの変化として捉えたほうがいい例、読み替えが必要な例、更に転調しているか曖昧な場合の歌い方について実際の曲で示しています。