Just Friends アナライズ

Just Friends と類似性のある曲として、Candy(1944年)とHow High The Moon(1940年)があるが、この曲の面白いところはこれらの曲との関連にある。John Klenner はこの曲を1931年に作曲している。この曲で戸惑うのは7〜8小節目の Ab-7 /  Db7 である。

コード・アナライズは常にメロディーを考慮すべきであるが、コードだけで考えても理論上は次のようにアナライズ可能で難しいものではない。核心の部分は後半に述べたい。

 サブドミナント(SD)から始まる曲は珍しくはないが、 II-7 から始まることが多く、IVから始まる曲は少ないといえる。サブドミナント・マイナー(SDM)になり、トニック(T)に向かうのは典型的な動き。

 この Ab-7 /  Db7 は、次の G-7 /  C7  が前にさかのぼってエクステンド(Extend)したもので、通常は D-7 / G7 となるものであるが後述の理由により代理コードに変わっている。 (元々、この部分のメロディーの B音はエクステンドした D-7に対してアボイド・ノートに相当し、D-7 は Ab-7 に変える必要はある)

 この部分は半終止で終わるために ④ が2倍になっているだけで、よくあるパターン(例:Take the “A” train のB section)。

 ②や③と同様にドミナント・コードは次のII-7を飛び越えてV7 に向かっている。このII-7 は Interpolated chord として説明される。特に V7/V(含subV7/V)の時に起こりやすい。多くの場合 II-7 / V7 は V7 に変更可能ということからも説明できる。よって偽終止とはしない。

 

最初の8小節のコード進行

どのような考えでコードを付けたかを推測することは、その曲を深く理解するだけでなく、作曲したり、既存の曲にジャズコードを付けるときに役に立つ。

最初の8小節のメロディー

このメロディーにジャズコードを付けるとき、注目すべきは最初の4小節と次の4小節は同じメロディーで全音下がっていること、とノン・ダイアトニック(調のスケール外の音)な音が含まれていることである。

転調させなくて同じメロディーを全音下げるには5度下への進行(4度進行)が2回起これば可能である。(メロディーの下、コードのルートに対する度数を参照)また、スケール外音のDbはFキーのb6に当たるのでNatural minor からのModal Interchange chord が使える。(Fマイナー・キーのスケール上の音としてDb音が存在。)

それらの条件を探すと、次のようなコード進行が可能となる。

機能的にもうまく動いている。

ハーモニック・リズムを考えると、Eb7とDb7の箇所はメロディーが静的なのでコードをもう一つ加えたほうが良い。同じSDMのIV-7 をEb7の前に、Db7はRelated minor 7thを前に置き、II-Vの形にすると。

ここで問題点が出てくる。

トニックのFコードがなかなか出てこないのでトーナルセンター(調)が曖昧である。また、How High The Moon と同じ構造を持っており、転調しているように聞こえる。

そこでトニック・マイナーのAb maj7(bIII maj7)をトニックのF maj7(I maj7)に替えることでこれらの問題が解決され、SD  –  SDM  –  Tonic という典型的なコード進行になった。Candy(1944年)は同じ進行から曲が始まっている。

このように考えると、Ab-7  /  Db  は結果としてextended II – V の裏コードとなったものと思える。

 

以前、MixiのコミュニティでJust Friends(1931年) のコードについて話題になったことがある。その時の文章を最後に。

Shige

この曲は本当におもしろいですね。コード進行をアナライズするときに私は作曲者が何を考えたかを推測するようにしています。

最初はA♭m7の意味が分かりませんでしたが、メロディーラインを見て最初の4小節と次の4小節で丁度長2度下がっていることに気が付きました。この曲の場合、最初

B♭M7|B♭M7|B♭m7|E♭7|

A♭M7|A♭M7|A♭m7|D♭7|

があったのでは?

メロディーはキーの3度から始まっているが、最初をFM7とするには 当たり前すぎるのでIVから始めた。しかし、トニックFを早く提示する必要からA♭M7をFM7に変えた。

A♭M7だけを考えるとA♭M7はFM7の♭IIIM7でモーダルインターチェンジコードと考えることができる。メロディーともFM7にして問題ない。

A♭M7をFM7に変えることでその前のii-VはIV-7と♭VII7になり理論通りIに向かう。

その後のii-V、A♭m7 – D♭7はRelated II とsubV7/Vに変えられる。

勝手な推測で、本当のことは作曲者に聞かないと分からないですが、このように理解することでこの曲が覚えやすくなりました。