Con Alma アナライズ

Con Alma アナライズ

 

 

music by John Birks “Dizzy” Gillespie  / 1954年

form: A (8 bars) A (8 bars) B (8 bars) A (8 bars)

original key : C  /  Ballad

この美しいバラッドは難解にみえる。転調しているようだが分かり難い。

転調を調べる時に必ずしなければならないのがメロディーのチェック。それに加えて、時代背景や作曲者の曲の特徴や好みなども参考になることがある。更には、作曲者がどのように考えて作ったか、を推測することは非常におもしろいし、作曲するときに役に立つ。

メロディーをみていて重要な事実に気がついた。メロディーがコンディミのスケールだけで書かれている。

 

 

コンディミはSymmetric dominantと呼ばれるように、間が半音ー全音ー半音ー全音と繰り返されるスケールで、上のようなテンションを含むドミナント・スケールとして扱われるが、メロディーのスケール源 ( Scale resource )としても使われる(例: Killer Joe -B section)。

コンディミは、スケールの始まる音が短3度離れたスケールは同じスケールなので3種類しかないが、AセクションとBセクションでは違うコンディミが使われている。

AセクションをE コンディミ、BセクションをF コンディミとして考えると次のようになる。

 

 

最初の4小節と次の4小節は同じメロディーなので、転調して同じ数字になるのだが、ここではAセクションを通して同じコンディミで考えることができることを表わした。

作曲者が何を考えたか? 想像すると、「コンディミだけで書かれたメロディーは短3度転調しても同じスケール上の音なので、転調しても転調感の少ない曲にできる。」

しかし、コンディミで8音の全てを使ってメロディーを作ることは非常に難しい。また、コンディミ上にできるコードは限られており、それだけでコード進行を作るには無理がある。この問題を解決するために、メロディーはコンディミの一部の音だけを使い、コードはメジャー・スケール上のコードでマッチングを行ったと考えられる。

短3度下に転調する場合、よく使われる半音下と全音下に転調の組合せがある。(例:WaveのBセクション、またAll the things you areは短3度下ではないが同じ組合せを使っている)

半音下は、bIImaj7  –  II-7/V7  –  Imaj7 というナポリタンコードを利用した進行であり、全音下への進行はHow High the Moonなどに見られる Imaj7が I-7にModeが変わり、それがII-7として機能して全音下に転調する進行である。それぞれ Imaj7とbIImaj7、I-7とII-7がピボットコードとなり自然な転調ができる。

次のコード進行①は元と考えられる進行である。

 

 

②は①の3~4小節目を1/2にして第4小節としたもの。第2小節は第3小節に移り、第1小節が2小節に広がった。

③:静的なメロディーに対してコードを滑らかに下行させるために1~2小節はkey of Eのダイアトニック・アプローチの手法でDo  Ti  La  Solと下行、VII-7(b5)はセカンダリー・ドミナントであるV7/VIの転回形に変えられた。 3小節目のii-VはVに代えることで、B7は key of Ebのドミナント(Bb7)に向かう裏コード(subV7/V)として機能する。

 

 

コードとメロディーの関係を見てみると、メロディーの音は全てコードに対してアベイラブル(available)となっている。

 

 

全体のコードアナライズはこのようになった。

B セクション1~2小節と3~4小節は、key of Eに向かう裏コードと表コードのii-Vとしたが、 key of Bbに向かう表コードと裏コードで、裏コードが半音下でなく5度下のEmaj7に偽終止したとも考えられる。1~2小節がマイナー系のii-Vとなっているのは、メロディーに合わすためである。

転調を滑らかにするために転調部分にピボットコードを多用しているが、そうでない部分もある。A セクションのリピートする部分はCmaj7→Emaj7であるが、このコード間には共通音が2つあり(EとB)移行はスムースである。BセクションからAセクションに戻る箇所では、Bb7からEmaj7でも問題ない(G7 → Dbmaj7を模倣)が、ここではEmaj7に向かうii-Vを挿入した(Colorado bookから)。

F-7/Bb7→ F#-7/B7→Emaj7 と動くこのコードの動きは、ColtraneのMoment’s noticeと同じである。Mi  Mi  Mi ~という最初のメロディーも同じであり、Con Alma(1954)がMoment’s notice(1957)のアイデアの元になったのではないかと感じさせられる。

***コード・アナライズの読み方***

実線の矢印はドミナントコード(V7)が5度下に解決する時
破線の矢印はドミナントの裏コード(subV7)が半音下に解決する時
ドミナントコードが本来と違うコードに解決する(又は解決しない)場合は( )が付きます(偽終止といいます)
V7/VI/5 とあるのは、VIに解決するセカンダリー・ドミナントの5度がベースの転回形。
リレイトッド・マイナー7th と5度下のドミナント7thとの間には下にこのような線を入れます。
(E:) はkey of E
ピボット・コードは元のKeyと転調後のKeyの2つの機能をもちます。上が元のキー、下が新しいキーです。