何故ジャズ理論

何故、ジャズ理論を同時に勉強するかということ。

理論からジャズを始める人は多分いません。 多くの人はジャズ演奏を深めていく中で、たくさんの疑問が出てきて、そこでジャズ理論の門をたたくのです。

ジャズ理論はよく難しいと言われますが、特別なものではありません。 そのほとんどはクラシック音楽の理論と何ら変わりません。 クラシック理論よりも約束事が少なく、分かり易いかもしれません。

ただ、日本の義務教育での音楽教育が貧弱で、ほとんどのジャズ初心者が音楽の基礎がよく分かっていない状況ではジャズ理論が難しく感じられるのは当然です。 もう一つの理由は日本語のジャズ理論書が非常に分かりにくいということがあります。 それはその理論の背景、何故そういう理論が出てきたのか、実際例などが説明されていなくて、ほとんどは結論の理論で終わっている点にあるように思います。

即興演奏としてジャズを演奏するには覚えるということが必要です。 曲を覚える、和音進行を覚えるなど覚えなければならないことはたくさんあります。 理論を知らなくても何回か演奏すると覚えることはできますが、簡単に忘れてしまいます。  忘れないように記憶するにはどうしたらいいかというと、その記憶にラベルを付けて整理し必要なときにいつでも出せるようにします。 忘れるということは、記憶がなくなったのではなく、記憶が出てこなくなったということです。 これがジャズ理論とどのような関係があるかということですが、「記憶にラベルを付ける」という行為のラベルにジャズ理論が相当するからです。 コード進行だけを考えてみても、その意味が分かっているのとそうでないのでは覚え易さに差が出てきます。 たくさんの曲を演奏していると、この曲のこの部分はあの曲のあの部分と一緒だとたくさん気が付き、それも曲を覚えるのに一種のラベルになり、役に立ちますが、理論が分かっているともっとたくさんの曲での共通性が理解できるようになります。

一般的に作曲という行為は音楽理論なくしてできないと言えます。 歴代の著名なクラシック音楽やジャズの作曲家がいかに理論に長けていたかは、その曲を分析してみると良く分かります。 例えばボサノバの名曲をたくさん生んだAntonio Carlos Jobimのコード進行は非常に難しいものが多いですが、ジャズ理論が理解できてくると、彼がいかに音楽理論を勉強していたかがよく分かります。 ジャズを演奏するということ、インプロヴァイズ(即興演奏)することは、作曲の手法に似ています。 少なくともコード進行に対するメロディーの付け方は同じです。

ジャズ初心者は演奏を何回も聞いて真似することから始めることが多いです。 もちろんメロディーの意味も分からないまま。 せっかく覚えた複雑なジャズのフレーズも意味が分からないので応用が利かなく、その曲だけに終わってしまうか、同じコードの時に使用したりするだけとなります。 実際は同じコードでもそのままで使うとダメな場合は多々あります。

ジャズ理論を面白いと感じる人と難しいと感じる人がいます。 一般的に理工系の人は面白いと感じるようです。 音楽はよく数学であると言われますが(昔は実際に数学の一部門として音楽が存在した)、ロジックで物事を考えることに慣れている人はジャズ理論に容易く入っていけるように思います。 しかし、これは一般的な傾向という話で、経験上は必ずそうとは言えません。 唯一の真実は、人によりあまりにも差が大きいという点です。

UNOジャズレッスンでは、最初からジャズ理論の勉強と実技のレッスンを同時に行なっていますが、ジャズ理論に関しては、難しいと感じる人はゆっくりと、または一時中断して実技中心にしています。